無料相談はアイシア法律事務所

財産分与の請求

財産分与の請求

離婚をする場合にお金を貰うというと慰謝料を思い浮かべる方が多いのですが、実は金額が大きいのは財産分与です。実務的には非常に重要なポイントとなりますので、しっかり押さえておきましょう。

財産分与とは、夫婦が協力して築いた財産を離婚時に夫婦間で分配することをいいます(民法768条1項)。例えば、結婚生活中に購入したマンションや車、預貯金、保険金等を分配するのです。マンションや車、預貯金は夫名義の場合が多く、夫から妻に対して財産分与として金銭が支払われることが通常です。

1. 財産分与の相場

まず、きちんと財産分与を請求すると、どの程度の金額を得ることができるのか、すなわち財産分与の相場についてです。もっとも、個別的事案やきちんと主張立証を行えるかによって金額は大きく変わりますので、ご自身の事案については弁護士にご相談下さい。

司法統計・家事23年度第25表によれば、離婚調停・離婚審判において約30%の事件で財産分与の取決めがなされています。そして、財産分与がなされた事件における内訳は以下のとおりです。
200万円以下 39.1%
200万円~1000万円以下 31.5%
1000万円超 17.4%

もっとも、財産分与の金額は結婚期間に応じて異なる傾向にあります。なぜなら、財産分与は夫婦が共同して築きあげた財産を分配するものであるため、結婚期間が長い程、多くの財産が財産分与の対象となります。
結婚期間が10年未満の場合は100万円~200万円程度、結婚期間が10年~20年の場合は100万円~1000万円程度、結婚期間が20年超の場合は1000万円前後がボリュームゾーンとなります。

2. 財産分与の内容

財産分与の内容としては、清算的財産分与、扶養的財産分与、慰謝料的財産分与の3つの性質があります。

①清算財産分与

清算的財産分与とは、夫婦が結婚期間中に協力して形成した財産は、財産名義を問わずに(例えば、夫の単独名義だとしても。)、夫婦の共有財産であると考えて、離婚時に公平に分配するものです。

共有財産を分配するものですので、離婚原因は問われません。従って、清算的財産分与は、有責配偶者(例えば、浮気をした妻等)からも請求できます。

②扶養的財産分与

扶養的財産分与とは、夫婦の一方の離婚後の生活のために行われる財産分与です。
離婚時に夫婦の一方が経済的に困窮する事情がある場合(例えば、専業主婦である、高齢である、病気である等)、一定額を定期的に支払うことが認められる場合があります。

③慰謝料的財産分与

慰謝料的財産分与とは、財産分与において慰謝料的要素が考慮されることをいいます。本来は、財産分与は夫婦の共有財産を分配するものであり、慰謝料は離婚の原因を作った配偶者が片方の配偶者の精神的苦痛の償いをするものであり、性質が異なるものです。

しかし、慰謝料と財産分与は、ともに金銭的請求を内容とするため、明確に区別されずに慰謝料・財産分与の双方を合計した金銭的請求がなされることがあります。

3. 財産分与の対象

財産分与においてポイントとなるのは、財産分与の対象となる財産を決めることです。例えば、夫名義のマンションがいくつかある場合に、財産分与の対象となるものとならないものを区別する必要があります。

財産分与の対象を決める基準は、夫婦の共有財産と言えるか否かです。
もし、調査や法的知識が不十分であるため、財産分与の対象となる財産を見落としてしまえば、損をしてしまうため注意が必要です。

①財産分与の対象となる財産(共有財産)

財産分与の対象となるのは、夫婦が婚姻期間中に形成した財産(「共有財産」といいます。)です。

例えば、夫婦共同名義のマンションや家具等のほか、夫単独名義の預貯金、マンション、車、保険の解約返戻金等も婚姻期間中に購入されたものであれば原則として共有財産となります(民法762条2項)。

なお、離婚時点と別居時点が分かれている場合、財産分与の対象となる財産は別居時点で判定されると解されています(秋武憲一著「離婚調停」等)。なぜなら、別居時点において経済的な共同関係が消滅したと考えられるからです。
従って、別居後に離婚をする場合は、別居後に取得された財産は財産分与の対象とならないので注意が必要です。

②財産分与の対象とならない財産(特有財産)

財産分与の対象とならない財産は、夫婦の片方が結婚前から所有する財産又は結婚期間中に単独で取得した財産をいいます(民法762条1項)。

しかし、実務的には特有財産の範囲は狭いものと考えられています。例えば、特有財産となるのは、独身時代に購入した不動産や、結婚期間中に相続によって取得した不動産です。独身前に貯めた現預金は特有財産とならないケースもあります。

法律相談にいらっしゃる方がホームページ等の解説を読み間違えて財産分与の対象とならないと誤解されているケースが非常に多いです。もし、勘違いしたまま財産分与の交渉を行うと大きな損をすることになるので、是非弁護士にご相談下さい。

③借金について

借金についても、一定範囲で財産分与の対象となります。実務的には、夫婦の共有財産から夫婦の共同生活のための借金を差し引いた残額が分配されます。
例えば、婚姻期間中に購入した不動産があるもののローン残高が残っている場合は、不動産の時価からローン残高を差し引いた金額を分配することになります。

他方で、パチンコ等のギャンブルやブランド品購入等の浪費といった夫婦の片方が夫婦生活と関係なく個人的に行った借金については財産分与の対象とならないと考えられます。

4. 財産分与の割合

財産分与の割合については、考え方としては財産の形成に対する貢献度に着目して行われますが、原則として分与の割合は1/2ずつとされます。

例えば、夫がサラリーマンであり、妻が専業主婦の場合、お金を稼いでいるのは夫だけだと思われるかもしれません。しかし、夫が会社で働くことに専念できたのは、妻が家庭を支えたといえるところ、両者の価値は平等であると考えられていることから貢献度は1/2ずつと考えられているのです。

しかし、財産分与の割合は財産形成に対する貢献度に応じるものであり、個別具体的な事情によって異なり得るものです。とくに、夫婦の一方が特殊な才覚によって多額の資産が得られた場合には分与割合が概ね1/3~1/2の範囲内で修正されることがあります。

例えば、福岡高裁昭和44年12月24日判決は、夫が開業医であるため年収が1億円を超えており資産も1億円超のケースについて、妻に2000万円しか財産分与を認めませんでした(財産分与の割合1/5未満)。これは収入に対する夫の個人的な才覚を認めた事案といえます。

男性が離婚する場合、ご職業が経営者様、お医者様等で高額な年収を得ておられるときは是非弁護士にご相談いただければと存じます。とくに当事務所では、経営者様、お医者様の離婚問題について力を入れており、特別のページを設置しておりますので、お力になれましたら幸いです。

5. 財産分与の方法

財産分与の方法については、離婚時に行う離婚協議、離婚調停、離婚審判、離婚訴訟といった各手続において合わせて行うことになります。
それぞれの解説については別ページをご参照下さい。

なお、財産分与については、財産分与の対象と分与の割合について誤る場合が多く、不十分な調査や法的知識に基づいて話し合いを行うと大きな損をする場合があります。
また、財産分与の話し合いがまとまると、一般的に内容を書面で記載しますが、書面の内容が不十分であり財産をきちんと貰えない又は、将来に渡って貰えるはずの支払いが滞っても回収できない等でご相談に来られる方もいらっしゃいます。

とくに、複数・多額の財産が存在するような場合は、仮に話し合いによって財産分与の割合を決めようと考えている場合でも弁護士に依頼することを強くお勧めします。

6. 財産分与の期間制限

財産分与は、通常は離婚時に決められますが、離婚後に財産分与の請求をすることも可能です。離婚後の財産分与については、離婚から2年以内の期間制限がありますので注意が必要です(民法768条2項但書)。

もっとも、離婚をした後はお互いの財産状況を把握することが難しくなるため、財産分与の請求が困難になることがあります。そのため、財産分与の請求が必要であることに気付いた段階ですぐに弁護士にご相談下さい。